被災した少女がアイドルへ...
震災から2年を経て、ようやく書きだせた物語です。
 
 
被災者による被災地のためのミュージカルにでてみませんか?」
喫茶店で、そんなことを言われた時。わたしは、きっと変な顔をしていたと思います。

その時、渡邊プロデューサーは、わたしと東日本大震災に、どのような関わりがあったのか、知りませんでした。
石巻市出身という話や、実家が津波で流されてしまった話はしましたが、
わたしの身の上に起こったこの出来事は誰にも話したことがないし、話したくもなかったことです。


 
今回、二月から一ヶ月間舞台にて沢山の皆さんに迎えられて、上演後の交流会では、いろんなお話をさせて戴きました。
横浜公演では「行政や観光協会が観光誘致のために「すっかり復興した」というイメージを出しているために、
それを信じて東北に行ってみると、まだまだ沿岸地区では被災者の生活が安定していないこと。
そのギャップに怒りすら感じたものの、自分自身、被災地に何をしてあげればいいのか判らない」という
思いを抱えている方が沢山いることを教えてもらいました。



そうなのです。東北が活性化するために、いつまでも「被災地」というイメージを引きずってはいけません。
でも現実問題として、いまだ復興は進んでおらず、場所によってはまだまだ手が付けられていないところもあるんです。
そのギャップは、募金箱の早期撤収や、被災者への支援の打ち切りなどにつながっているのです。
つまり、震災を風化させているのは、他ならない被災地だったのです。

そこでわたしは、わたしの知っている「東日本大震災で起こったこと」を書くことを決意しました。

...とはいえ、わたしにドラマチックな話があった訳ではありません。
一被災者として、わたしが受けた経験と、そこで思ったこと。
登場人物は、わたしと、母と、そして三頭の愛犬だけが出てくる、非常に小さい物語です。

でも「あの時」を体験した人間として、今後どこにでも起こりうることとして、
警告の意味を含めて皆さんにお伝えすることができればと思っております。
わたしは子供の頃から作文が苦手で、今回も何年ぶりに文章をかくことになります。
表現など稚拙で判りづらい部分があると思いますが、ぜひ、最後までおつき合いいただければと思います。
 

一ノ瀬さくら
宮城県石巻市出身。 3.11東日本大震災にて被災し、母親と愛犬、そして実家が津波に流され、思い出のほとんどを失った。一からやり直す人生として、
仕事を辞めて、夢だったアイドルの世界に身を投じた。また今後も起こりうる出来事として、舞台「三月革命」や朗読会「南三陸町からの手紙」を通し、
災害時の対処などの啓蒙活動を行っている。株式会社TKプロダクション所属。
 
「さくら〜被災地から生まれたアイドル〜」一ノ瀬さくら 著 定価800円(税込)
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